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2026年9月16日

移転・退去

オフィスの退去費用はいくら?原状回復の考え方と費用を抑える方法を解説

オフィスの退去費用はいくら?原状回復の考え方と費用を抑える方法を解説

オフィスを退去するときは、引越し費用だけでなく、原状回復工事、造作・設備の撤去、廃棄物処分、解約予告期間中の賃料など、複数の費用が発生します。移転先の初期費用と支払時期が重なると、想定以上に大きなキャッシュアウトになることもあります。

なかでも金額が大きくなりやすいのが原状回復工事です。ただし、事業用オフィスの原状回復範囲は一律ではなく、賃貸借契約書・特約、ビルの工事区分、内装の状態などによって異なります。インターネット上の坪単価だけで判断するのではなく、自社の契約条件を確認することが重要です。

本記事では、オフィス退去時にかかる費用の全体像、原状回復工事が高くなる理由、見積書の確認ポイント、現状の内装を残す方法や居抜き退去、次のテナント探しを活用した費用削減策まで解説します。

まず結論|退去費用は「原状回復費」だけではない

退去時に必要な資金は、原状回復工事だけを見ていると不足しやすくなります。代表的な項目を整理すると次のとおりです。

費用

内容

見落としやすいポイント

原状回復工事費

契約で定めた状態へ戻すための工事

指定業者、夜間工事、養生、廃棄等

造作・設備撤去費

間仕切り、家具、追加設備等の撤去

所有権・残置可否

廃棄物処理費

什器、内装材、残置物の処分

搬出・産廃処理費

引越し費用

新オフィスへの移設

搬出経路、時間帯、距離

通信・電気等の撤去

LAN、電話、追加配線等

復旧範囲

解約予告期間中の賃料

通知から契約終了までの賃料

新オフィスとの二重賃料

違約金等

中途解約等で契約上発生する費用

定期借家・特約等

敷金・保証金の精算

償却、未払債務、原状回復等を精算

返還時期と返還額

事業用オフィスの原状回復とは?

民法621条では、賃貸借終了時の原状回復について規定があります。一方、事業用オフィスでは賃貸借契約の原状回復条項や特約が実務上非常に重要です。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は民間賃貸住宅を対象としたガイドラインです。事務所ビル等の事業用賃貸借については、通常損耗まで借主負担とする条項の解釈が裁判で争われた例もあり、契約文言によって判断が分かれています。したがって、住宅向けのルールをそのまま当てはめず、自社の契約書・特約を確認する必要があります。

退去前に最初に確認する5つの書類・条件

  1. 賃貸借契約書:原状回復条項、解約予告、違約金、敷金・保証金の精算を確認する
  2. 原状回復・内装工事に関する特約:通常損耗、設備撤去、復旧仕様等の記載を確認する
  3. 工事区分表:A工事・B工事・C工事の区分や指定業者の範囲を確認する
  4. ビル管理規則:工事可能時間、搬出入、養生、エレベーター使用等を確認する
  5. 入居時の図面・写真・引渡資料:どの状態へ戻すのかを確認する

原状回復工事では何をする?

  • 間仕切り・造作家具・サイン等の撤去
  • 床材・壁・天井等の復旧
  • 追加した照明・電気・電話・LAN配線等の撤去・復旧
  • 空調・防災設備等の復旧
  • クリーニング
  • 廃材・残置物の搬出、処分

必要な工事項目は物件によって異なります。内装をほとんど変更していない小規模オフィスと、大規模な間仕切り・設備工事を行ったオフィスでは、同じ坪数でも費用は大きく変わります。

オフィスの原状回復費用の相場は?

WEBで掲載されている記事や原状回復事業者の公開情報では、オフィス規模やビルグレード別に「1坪あたり数万円〜十数万円」といった目安が示されています。ただし、公開されている相場にはかなり幅があり、指定工事業者、夜間工事、工事範囲、ビルグレードなどで大きく変わります。

そのため、本記事では特定の坪単価を『適正価格』として断定しません。まず契約上必要な工事項目を整理し、そのうえで見積書の数量・単価・諸経費を確認する方が実務的です。

原状回復費用が高くなりやすい6つの要因

1.貸主・ビル指定の工事業者を利用する必要がある

B工事等として貸主側の指定業者が施工する範囲では、借主が自由に施工会社を選べない場合があります。工事項目・単価の妥当性を確認し、不明点は貸主・管理会社へ説明を求めましょう。

2.夜間・休日工事になる

他テナントへの影響を避けるため、工事可能時間が夜間・休日に限られると、割増人件費等が発生する場合があります。

3.搬出入・養生条件が厳しい

エレベーターの使用時間、共用部の養生、搬出経路に制約があると作業工数が増えます。

4.造作・設備が多い

会議室、造作家具、追加空調、電気・通信、防災設備等を増設しているほど、撤去・復旧範囲が広くなります。

5.廃棄する什器・内装材が多い

家具や造作物の処分費、搬出費、産業廃棄物処理費等が増えます。

6.契約上の復旧仕様が高い

入居時より高い仕様への復旧を求める見積が含まれていないか、契約・引渡状態と照らし合わせて確認することが重要です。

原状回復の見積書で確認したい10項目

確認項目

チェック内容

工事項目

契約上必要な工事か

施工範囲

数量・面積が実際の対象範囲と合っているか

材料・仕様

入居前・契約上必要なグレードか

単価

同一工種内で不自然な差がないか

夜間・休日割増

ビル規則上必要か

養生・搬出費

搬出条件に対して妥当か

廃棄物処理費

対象物・数量が明確か

管理費・諸経費

何に対する費用か

指定業者範囲

どこまでが指定工事か

工期

明渡期限までに完了可能か

疑問点があれば、見積書だけで判断せず、契約書・工事区分表・入居時の状態と照合して確認します。高額な見積で判断が難しい場合は、不動産・工事・法律等の専門家へ相談する選択肢もあります。

退去費用を抑える7つの方法

1.移転を考え始めたらすぐ契約書を確認する

解約予告期間や原状回復条件を早く把握すると、二重賃料や工事手配、次テナント募集の時間を確保しやすくなります。

2.解約通知前後に貸主・管理会社へ相談する

内装を残せる可能性、工事範囲、指定業者等を早めに確認します。借主だけで原状回復条件を変更することはできません。

3.見積書を契約内容と照合する

契約上不要な工事や、実際の数量と合わない項目がないかを確認します。指定工事でなければ相見積もりが可能か確認するのも一案です。

4.貸主と『現状のまま明け渡す』合意を検討する

契約上は原状回復が必要でも、貸主が現在の内装を残すことに合意すれば、工事範囲を減らせる場合があります。残す設備、所有権、修繕責任、将来の原状回復義務等を明確にし、書面化することが重要です。

5.居抜き退去・造作譲渡を検討する

次の入居者が現在の内装・設備を活用したい場合、貸主の承諾のもとで居抜きで引き継げる可能性があります。造作譲渡を伴う場合もありますが、居抜き退去と造作譲渡は同義ではありません。

6.次のテナント候補を早めに探す

次の入居者候補が現在の内装を使いたい場合、貸主にとっても空室期間の短縮につながる可能性があり、内装を残す条件について協議しやすくなる場合があります。

7.新オフィスの初期費用と合わせて資金計画を立てる

旧オフィスの退去費用、新オフィスの契約金、二重賃料、保証金返還までのタイムラグを時系列で整理し、必要な手元資金を確認します。

「現状のまま明け渡す」「居抜き退去」「造作譲渡」の違い

方法

概要

必要なこと

現状のまま明け渡す合意

貸主との合意により、内装・設備の全部または一部を残して返却する

貸主との条件合意・書面化

居抜き退去

次の入居者が既存内装・設備を活用する前提で引き継ぐ

貸主承諾、次テナントとの調整

造作譲渡

造作・設備の所有権を次の入居者等へ譲渡する

対象、金額、責任範囲等を契約で整理

いずれも、次の入居者が見つかったから自動的に原状回復義務がなくなるわけではありません。貸主を含めた関係者で原状回復義務や所有権を整理したうえで進める必要があります。

なぜ「次のテナント探し」が退去費用削減の鍵になるのか

貸主にとって、現テナント退去後に長期間空室になることは賃料収入の減少につながります。もし退去前に次の入居者候補が見つかり、その企業が現在の内装を活用したいと希望していれば、貸主側にも「内装を残したまま引き継ぐ」ことを検討するメリットが生まれる可能性があります。

つまり、単に『原状回復費を安くしてほしい』と依頼するのではなく、次のテナント候補と既存内装の利用ニーズをセットで提示することで、借主・貸主・次テナントの三者にメリットがある状態を作ることがポイントです。

退去までのスケジュール例

実際の時期は契約の解約予告期間によって異なります。以下は、例えば解約予告が6か月前に必要な契約を想定した進め方のイメージです。

時期の例

主な対応

移転検討開始

契約書・解約予告・原状回復条件を確認

6か月以上前

貸主・管理会社へ相談、移転先探索、次テナント募集可否を確認

解約通知時

契約に従って正式通知、原状回復範囲・工事条件の確認

4〜3か月前

原状回復見積、現状引継ぎ・居抜きの交渉、次テナント候補探索

2〜1か月前

工事・引越し・通信移設等を確定

明渡しまで

原状回復または合意した状態で引渡し、残置物撤去

明渡し後

敷金・保証金等の精算、返還条件を確認

解約予告期間は物件ごとに異なるため、上記の「6か月」は一般ルールではなく例です。必ず自社の契約書に記載された期限を確認してください。

ちいきぼオフィスの退去・移転サポート

ちいきぼオフィスでは、オフィスの移転・解約を検討している方に向けて、退去相談、次のテナント誘致、移転先の物件探しを案内しています。

現在のオフィス内装を活用したい次の入居者候補を探すことで、貸主と現状のまま引き継ぐ方法について協議できる可能性を広げます。ただし、実際に原状回復を省略・変更できるかは、賃貸借契約、貸主の承諾、次テナントの条件によって異なります。

退去が決まる前でも相談できます

移転を検討し始めた段階で契約条件を確認し、次テナント募集や移転先探しの時間を確保することが、選択肢を増やすポイントです。ちいきぼオフィスでは、各地の小規模オフィスをご紹介している他、スケルトン工事のような大掛かりな解体費用を抑えたい方向けに、次の入居者へ内装・設備を引き継ぐサポート「居抜き退去サポート」を提供しています。是非ご相談ください。

退去前チェックリスト

  • □ 解約予告期間・通知方法を確認した
  • □ 原状回復条項・特約を確認した
  • □ 工事区分・指定業者の有無を確認した
  • □ 入居時の状態を写真・図面で確認した
  • □ 原状回復見積の項目・数量・単価を確認した
  • □ 夜間工事・養生・搬出条件を確認した
  • □ 敷金・保証金の返還・償却条件を確認した
  • □ 現状のまま明け渡す可能性を貸主へ相談した
  • □ 居抜き退去・造作譲渡の可否を確認した
  • □ 次テナント募集を検討した
  • □ 新旧オフィスの二重賃料を試算した
  • □ 移転全体の資金繰りを確認した

よくある質問

Q. 原状回復費用は坪いくらが適正ですか?

公開情報には幅広い目安がありますが、契約条件、指定業者、工事範囲、時間帯、ビルグレード等で大きく変わります。坪単価だけで適正・不適正を判断せず、工事項目と数量を確認する方が重要です。

Q. 通常損耗・経年劣化も借主負担ですか?

事業用建物では契約・特約の文言が重要で、裁判例も契約内容によって判断が分かれています。住宅向けガイドラインをそのまま適用せず、契約書を確認してください。

Q. 原状回復業者を自分で選べますか?

契約・工事区分によります。指定業者が定められている範囲では自由に選べない場合があります。

Q. 居抜きで次の人が入れば原状回復は不要ですか?

自動的に不要になるわけではありません。貸主が既存内装を残すことに承諾し、原状回復義務等を関係者間で整理する必要があります。

Q. 退去費用を抑えるために最初にやることは?

まず賃貸借契約書の解約予告期間と原状回復条項を確認してください。その後、貸主・管理会社へ早めに相談し、見積・次テナント募集・移転先探しを並行して進めます。

まとめ|退去費用は「工事前の準備」で変わる

オフィスの退去費用は、原状回復工事だけでなく、造作撤去、廃棄、引越し、二重賃料、違約金、敷金・保証金の精算まで含めて考える必要があります。

費用を抑えるために重要なのは、工事直前になってから価格交渉をすることではありません。早い段階で契約条件を確認し、見積内容を精査し、貸主との現状引継ぎの可能性や居抜き退去、次テナント募集を検討することです。

特に小規模オフィスでは、既存内装をそのまま使いたい次のテナントが見つかれば、貸主の空室リスクを減らしながら原状回復範囲を見直せる可能性があります。移転を考え始めた段階から準備を進め、選択肢を確保しましょう。

オフィス退去・移転を検討している方へ

ちいきぼオフィスでは、各地の小規模オフィスをご紹介している他、スケルトン工事のような大掛かりな解体費用を抑えたい方向けに、次の入居者へ内装・設備を引き継ぐサポート「居抜き退去サポート」を提供しています。現在の契約や内装状況を確認しながら、次テナント募集や移転先探しについて相談できます。

 
 

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